対話的・生成的な英語授業へ!
本校では「Google for Workspace」の導入という大きな一歩を踏み出してから、わずか5年でGoogle認定教育者資格を持つ教員を30名輩出し、2023年4月にGoogle事例校に選出されました。特に英語科には、その中核を担う若くバイタリティのある教員が多く在籍しています。今回は、英語科でGooglefor Educationを効果的に活用した授業を行う小森慎也先生、佐々木健人先生に詳しく話を聞きました。
ICTと対話的・生成的な英語授業
小森先生によると、英語科の授業では、豊かなコミュニケーションスキルを獲得することを目指し、授業の随所で対話的、生成的な学びの時間を設けているそうです。教員が目を配らせ、全ての生徒に講義的に指導するのではなく、言語学習のエッセンスを散りばめたワークをベースに、生徒自ら学び、フィードバックし合うことで生成的な学びのプロセスを実現しています。しかし、わずか50分の時間内に充実したワークを実施するには、課題も多く存在するそうです。
↑↑小森先生
小森先生によると、基本的な知識・技能があることに加え、自ら思考し、改善する文化づくりが難しいと感じていたとのことです。実現したい授業観には時間捻出が課題であり、その中で授業改革を進める上では、Google for Education が強力なソリューションとなったそうです。
Google for Educationを活用した授業の土台づくり
本校では、Google for Educationを使用し、特に英語科では、Chromebookと基本アプリを積極的に活用しています。佐々木先生によると、Googleフォームを用いて単語テストを行い、その結果を即時に生徒にフィードバックすることで、生徒の理解度を効率よく捉え、ターゲットを絞ったフォローが可能になったとのことです。
↑↑授業開始時に行われるGoogleフォームでの単語テスト
英語科では、全ての先生がこの活動を授業の帯活動として冒頭に実施するように仕組み化されています。一部の先生方が作成したGoogleフォームを水平展開するとともに、翌年に活用可能な形でGoogleドライブで保存し、適宜改善しながら活用されることが、文化として根付いてきたとのこと。一人一人が準備し、印刷し取り組ませ、丸つけをしていたところから、Googleフォームでの取り組みを全ての英語科教員で仕組み化できたことは、対話的・生成的な授業を行う上で大きな土台となっているようです。
あえて全生徒にフィードバックしない、その真意
また一方で、小森先生はGoogleドキュメントを活用し、生徒が他の人の成果物を提案モードで編集するなどのアクティビティを取り入れ、多面的な視点から語学習得を促しています。
↑↑Googleドキュメントを用い、英作文を行う生徒たちの様子
従来型の英作文の授業では、教員が準備した事項や観点を習得させるために、時間をかけ、生徒一人一人に添削を行い、ライティング力を高めるためのアドバイスをしていました。しかし、Google for Educationを導入してから、英語科全体として、スキル向上の観点を最初から生徒に渡した上で、生徒同士で改善し合う活動に切り替えました。英作文のテクニックをメタ的に捉え、「評価体験」をすることで暗記型、穴埋め形式のライティングから一段レベルアップしたと考えています。実際、英検の合格率も年々5%程度ずつ向上しています。Googleドキュメントはこの大きな立役者となっています。この取り組みは非常にシンプルで、どの学校でも実現できると考えています。
と小森先生は語ります。
↑↑楽しくお互いの英作文を評価し合う生徒たちの様子
このように、本校ではGoogle for Workspaceの導入は先生方の授業準備や進行を大きく助け、より効果的な対話的・生成的な英語授業の実現に貢献している様子が確認できます。
Google for Educationのツール群の「共有性」の高さ
Googleドキュメントはクラウドベースのツールであるため、いつでもどこからでもアクセスできるという利点があります。本取材で生徒たちが作成したドキュメントは、リンクやメールを通じて瞬時に生徒に共有することが可能で、それにより生徒たちは複数のユーザーが同時に同じドキュメントを編集することが可能なため、グループワークや協調作業を円滑に進めることができます。
↑↑Googleドキュメント上でペアの生徒同士で添削し合う様子
Googleドキュメントのコメント機能は教育現場で特に有用です。教員は、生徒の作業に直接コメントを付けることができ、そのフィードバックは生徒にリアルタイムで届きます。また、生徒間でのアイデアの交換や質問、ディスカッションも可能になり、より深い理解や学習の深化を促します。一方提案モードは、ドキュメントの編集を提案として表示し、他のユーザーがその変更を承認または却下することができます。これは、生徒が他の人が書いたセリフを編集するなどのアクティビティを行う際に特に有用です。教師は生徒の提案を確認し、フィードバックを与えることができ、これにより生徒は自分のアイデアがどのように受け入れられ、改善されていくかを直接見ることができます。生徒同士でも同様です。
このように、Googleドキュメントは、その共有性、協調作業の可能性、そしてコメントや提案モードといった機能により、教育現場における情報のやり取り、生徒間の協力、そして教師からのフィードバックのプロセスを大きく助け、革新的な学習体験を生み出すツールとして、注目されています。
英語を学ぶ難しさとは?
↑↑佐々木先生の授業風景
英語を習得するプロセスで、必要な知識技能が大量にあることも事実です。特に英語は、日本国のセカンドランゲージというわけではなく、実生活で使うことがほぼありません。日々の指導だけで、リスニングやスピーキングまで体得することはなかなか難しいようにも思えます。そこで、Chromebookを用いた、リスニングとスピーキング能力向上のためのツール活用について研究しています。生徒が学びたい時に、必要な言語体験をできるように、GoogleClassroom上に教材をまとめることもその一つだと考えています。と、佐々木先生は語る。大学入試の対策も要求される高校での授業において、必要な能力を授業外でも学習できるような工夫も研究が始まっているようです。
Google事例校としての矜持
関東第一高等学校では、ICTツールを活用し、英語教育を革新的に進めています。その結果、生徒たちの学習体験が大きく進化し、新たな可能性が広がっていると確信しています。同時に、このような取り組みは、私たちのような高校だけではなく、もっと早い段階での実践も重要だと考えています。今年からGoogle事例校としての任を得たことは、きっと日本の教育界に貢献する何かのチャンスだと捉えています。ウルトラCの授業を作ることよりも、水平展開が可能な、実りある土台づくりでの教育とテクノロジーの結合を探究できるよう、新たな挑戦を続けていきたいと考えています。
↑↑生徒たちと一緒に、楽しい英語の授業を探究する佐々木先生
今回は、英語科の小森先生、佐々木先生のお話を伺い、豊かな言語学習への土台づくりをGoogle for Educationで実現していました。
これからも英語科のチャレンジに注目をしていきます!